2023年6月25日に放送された「NHKスペシャル “戦い、そして、死んでいく”~沖縄戦 発掘された米軍録音記録」を大変興味深く視聴しました。
この番組は、米議会図書館で発見された、兵士の声を米国民に届けるために収録されたラジオ用の音源「海兵隊戦闘記録」を軸に、当事者のインタビュー等で構成したもの。米国側の記録から作成されているので、その背後にある日本兵や住民の惨状を想像して辛くなる事もありましたが、大幅な偏りなどはなく作られている番組だと思います。また、その音声が鮮明なのにも驚きました。
7/2までは「NHK+」で見逃し視聴できるので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
今日の主題は番組の内容そのものではなく、その中に映っていた(今回の音声が記録された)録音装置。視聴された方は、テープやレコードではなく、針金のリールのようなものを使っていたのに気付かれたでしょうか?
これは「ワイヤーレコーダー」(鋼線式磁気録音機)というもので、原理はテープと同じく磁気を使って電気信号を記録しています。テープより古く、既に全く使われていない技術なのですが、経年劣化しやすいテープではなく鋼線に記録されていたのが功を奏して、こんなに鮮明な音声記録が残っていたのかもしれません。
このワイヤーレコーダーを含め、比較的最近まで大半の「記録媒体」は「回転」を伴うものでした。
音楽やビデオのカセットテープや
CD・DVDやレコードなどの円盤
映画のフィルム
写真:Holger.Ellgaard
そしてハードディスクや、古くはフロッピーディスクなどのコンピュータ用まで
これら全て「回転」させながら情報の記録や再生を行います。
さて、もう気付かれているかもしれませんが、これらの大部分はすでに絶滅、もしくは大幅に数を減らしている状況です。
そして、現在の記録媒体は(スマホ等の内蔵も含め)大半が、半導体を利用した「フラッシュメモリー」になっています。フラッシュメモリーには駆動する部分が無いので、動作はまったくの無音。
それに、例えばこのDVDと右側のSDカード(256GB)だと、SDカードの方が50倍以上もデータが入るのだから(もっと大容量もあり)、移り変わりは必然だよなあとも思います。
いま、世界ではあらゆる「回転」が減少し続けています。
コンピュータだって、以前はディスク類だけでなく冷却ファンも煩かったですが、スマホやタブレットにはそれらもなく全くの無音動作。「回転寿司」だって回らないコンベア方式の店が増え(笑)、工事難航しているもののリニアモーターカーの営業路線もあと何年かで開業。自分の子供が生きている間ぐらいには、タイヤのない自動車(←回らないから「車」じゃない?)が出てくるかしら。
地球も、自転速度が徐々に落ちていつかは止ま…る前に膨張した太陽に飲み込まれて全てが無に還るはずですが、我々やその文明を構成していた元素は「物理の円環」の中で再び(我々の概念の中での)「生命」を構成することはあるのでしょうか。
と、気が遠くなっている場合ではなく、山積みのタスクをこなして仕事や生活を回していかなくちゃ!